[ コラム ]

「GoTo」で盛大な梯子外し、旅行の必要性議論を

  • 2020年7月17日(金)

 「GoToトラベル」キャンペーンについて延期を求める署名が5日間で9万筆集まったとか、「よーくお考えに」とか色々と議論が紛糾したと思ったら、開始まで約1週間で東京が除外されるという梯子外しとなりました(しかもシニアや若者のグループ旅行も対象外とか…と思ったら業者の自己判断という謎のぶれ方)。仮に感染拡大防止の観点でその措置が仕方のないことであったとしても、ここまで進めたうえに当事者である旅行業界関係者がニュースで知るなどという「場当たり」という表現も生ぬるいほどの変節に、「ありえない」という言葉しか出てきません。

 これほど誰かを罵倒したい気持ちになったのは、記憶では過去に一度あるかないかです。「予約したけれどもキャンペーンの対象外になるならキャンセル」という話に当然なり、その対応を考えるともはや梯子から転げた先は地面でなく落とし穴だったというブラックジョークです。

 またキャンペーンに「今じゃないだろう」と仰っている方にも、それではいつであれば適切なのかとお聞きしたい。ワクチンができ、さらに日本国民の大多数が摂取できるようになるのはいつでしょうか。仮に、ワクチンができたと思った矢先に感染力や重症化率などのリスクがコロナと同程度の別の感染症が出てきたら、また同じことを最初から繰り返すのでしょうか。リスクがより深刻であればもちろんその時は相応の対応をするべきですが。

 キャンペーンの予算を直接困窮する観光業者に、というようなことを仰る方もいらっしゃるようですが苦しくない業者などなく、仮に旅行会社が1万社、ホテル旅館が5万軒であるとして、雑な計算ですがこれら6万社・軒にたった10万円を配るだけで60億円かかります。実際にはバスなどの地上交通、土産物店、飲食店など無数のプレーヤーが関わって観光は成り立っているわけで、さらに給付のルール作りなどを考えてもまったく非現実的です。

 それに、「ウィズコロナ」という言葉がすでに市民権を得つつあるようですが、コロナに限らず「リスクを評価しうまく付き合いながら経済を回す」ことに慣れない限り先はないでしょう。先程も書きましたが、コロナが過ぎ去ればすべて問題なしなどということはないのです。地震だって大雨だっていつどこに来るか分かりません。

 そもそも、残念ながらキャンペーンの予算規模が1.7兆円あっても、前述の通り裾野が広大な観光産業ですから、「実行されさえすれば半年、1年は安泰」などということはありえず、とにかく早く動きはじめることこそが生存の可能性を高めるのです。

 もちろん、東京の感染者がそのうち1日あたり300人、500人と増えていっても不思議ではなく、感染の拡大防止のために一定のルールを設けることを否定するつもりはありません。そういう工夫はいくらでもするべきです。しかし、不安だからという理由だけで日和って突然梯子を外すような話は本当に勘弁してほしいものです。国民全員が納得することなど最初からありえない話なのですから。

 まあ数年前に欧州やアフリカでテロが何度か発生した際も、あるいはタイで政情不安が繰り返し起きた際も、最初はテレビなどを通して目に入る惨状に驚いて多くの日本人旅行者が渡航を躊躇した一方、それがしばらく続くとどうもそこまでではなさそうだということで影響があまり出ないようになったと記憶しています。今回もこのままひどい狂騒が繰り広げられた後には、どこかのタイミングでまるで飽きが来たように反応が鈍くなり、旅行需要も耐性が示されるようになるのではないかと予想しています。

 また、観光はこれまで政治的に優等生というか、それが社会にとって重要であることに異論が出にくかった分野でいつも無風でしたので、個人的にはこのように議論の的になることもある意味で価値のあることではないかとも思っています。「観光は日本に必要か」という議論がネットニュースに出ていましたが、願わくばコロナの体験やこれらの議論の結果として、少しでも旅行の意義や平和産業としての貴重さが世間一般にも伝わってほしいものです。(松本) >

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